「中古マンションを購入したとして、20年後にさらに古くなると売れないのではないか?」

そんな疑問にお答えします。さらに、リスクの少ない買い方についてもお話します。


”今”、中古マンションを購入すべきか悩んでいる方は、こちらの記事から↓
東京の中古マンション価格相場が上昇した理由を徹底解説!~本当の買い時と売り時はいつか?(2019年)


マンションはいつまで住める?

ほとんどのマンションは鉄筋コンクリートで造られています。鉄筋コンクリートの寿命については諸説ありますが、国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について(平成25年8月)」には、次のように記載されています。

鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上ある(篠崎徹・毛見虎雄・平賀友晃・中川宗夫・三浦勇雄(1974)「約50年を経過した鉄筋コンクリート造の調査」日本建築学会学術講演梗概集)

鉄筋コンクリ-ト造建物の物理的寿命を117年と推定(飯塚裕(1979)「建築の維持管理」鹿島出版会)

鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる。)の耐用年数は120年、外装仕上により延命し耐用年数は150年。(大蔵省主税局(1951)「固定資産の耐用年数の算定方式」)

施工精度や立地環境といった諸条件にも影響されると思いますが、マンション(鉄筋コンクリート)は100年以上の寿命があると考えられそうです。

古いからといって、住めなくなるリスクに直結するわけではないようです。

古いマンションは売れる?

古いマンションには、売却できなくなるリスクがあるのでしょうか?

シンプルに捉えると、中古マンション購入の目的は「自己居住」「不動産投資・資産運用」「相続対策(一定期間は賃貸運用して、基本的に相続後は売却)」しかありません。 極論ですが、「安定的に人が居住するエリアであれば、築年数に関わらず中古マンションは売却できる」と思います。

今でも、築30年を超えるような旧耐震基準の中古マンションをリノベーションして自宅にするひとはいますし、投資家や資産家は運用・節税のメリットがあれば築年数に関わらず購入します。

2018年に売買取引の成立が確認できる最も古い中古マンションは、代官山にある「代官山コーポラス」です。代官山コーポラスは、1957年に建築された築61年の中古マンションです。1957年築というと旧耐震基準にあたり、新耐震基準と比べると耐震性にリスクがあるような古いマンションです。

築60年を超える旧耐震基準の中古マンションでも、現に売却できています(購入するひとがいます)。古いマンション=売却できないマンションとは言えないでしょう。

築40年超の古いマンションは増えていく

国土交通省は、築40年超の中古マンションが10年後には3倍、20年後には6倍になると予測しています。

20年後には、築40年を超えるような古いマンションは市場に大量に存在しているようです。中古マンションを探すひとから見れば、古いマンションもポピュラーな選択肢になっている可能性もあるでしょう。

※出典 国土交通省「分譲マンションの現状と課題」

より古いマンションが購入されるように

成約する中古マンションの築年数は2008年以降、上昇を続けています。

公益社団法人東日本不動産流通機構(以下、流通機構)によると、成約する中古マンションの平均築年数は2008年が築16年程度だったのに対して、2018年は築21年程度と年々上昇しています。

不動産市場では、より古いマンションが購入されるようになっているようです。

※出典 公益社団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産市場(2018年)」

マンションは古いほど割安に

流通機構によると、中古マンションの成約平均価格には築26年~30年まで落ち続ける傾向がみられるようです。

※出典 公益社団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産市場(2018年)」

古いマンションほど、安く購入できるようです。

ちなみに、新築マンションは中古になった瞬間に10%~20%価格が落ちるといわれています。新築と中古を比較すると、中古の方が圧倒的に割安感があるといえるでしょう。

ほとんどの中古マンションは建替えできない

マンション管理業務を行う法人の多くが参加する一般社団法人マンション管理業協会によると、平成30年4月1日時点で協会会員が受託しているマンションの管理組合は全国で96,491組合、首都圏では63,217組合あるとのことです。

一方で、建替えられているマンションは、全国で278件しか存在しません(平成31年4月1日時点、国土交通省「マンション建替えの実施状況」より)。

※出典 国土交通省「マンション建替えの実施状況」

総数に比べて建替えが実現できた中古マンションが、著しく少ないことがお分かりいただけると思います。

古いマンションの建替えは非常にハードルが高く、次の3点をクリアできなければ難しいのが現実です。

  1. 所有者が建替え費用を負担するのは事実上不可能なため、マンションデベロッパーが事業を行うメリットがある立地環境(立地が良い)。
  2. 建替え後に現所有者に新しい住居を提供でき、かつマンションデベロッパーが余った部屋を売却できる=現状よりも2~3倍以上のボリュームを持つマンションに建て替えられる立地環境。
  3. 上記2点をクリアした上で、区分所有者数および議決権の各5分の4以上の賛成を得る。

上記のようにハードルが高いため、建替えという選択肢は現実的ではありません。購入のリスクを少なくするには、“マンションを健全に維持し続ける”という視点が大事です。

マンションの維持には適切な管理が必要

マンションの構造である鉄筋コンクリートを維持するには、適切なメンテナンスが必要です。国土交通省「国土交通白書2014」には、次の記述がございます。

一見すると永久にもつかのように見えるコンクリートも、内部では長期間のうちに様々な要因によって劣化が進行しています。適切なメンテナンスを行うことにより、コンクリート構造物の機能を維持し、大切に使っていくことが重要

メンテナンスを行うのは、所有者で構成されるマンションの管理組合です(誤解されやすいのですが、管理会社は委託されているだけで主体ではありません)。マンションが古くなっても健全に維持できるか、資産価値を保ち続けることができるかは、管理組合にかかっています。

気をつけなければならないのは、「すべてのマンション管理組合が、良い状態にあるわけではない」ということです。

 管理組合が良い状態にあるマンションを選択し、悪い状態にあるマンションを選択しないようにすることが、リスクの少ない購入を実現するためには大切です。

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らくだ不動産の親会社である「さくら事務所」は、マンション管理組合向けのコンサルティングサービスを行っています。700戸超のタワーマンションのコンサルティングもさせていただくほどのノウハウを持っています。

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