コロナウイルスの影響は不動産市況にも大きく、不動産取引は全体的に停滞しています。その中でも、当社ではご売却が成功している方が多いですが、どのようにこの局面を乗り切っているのでしょうか?今回は、そのお話しをしようと思います。

コロナ市況下での不動産取引の現状は?

 毎年3月(状況によっては5月のGWぐらいまで)は不動産業界では「繁忙期」と呼ばれています。これは、この時期に転勤や進学、就職等で人が動くことが多いからです。その分、取引数が増えてきます。
しかし、今年はこのタイミングでコロナウイルスが蔓延し、人の動きが制限されたことで、結果、不動産取引数が減ってしまいました(東日本不動産流通機構のデータでは、首都圏マンションの3月成約件数:前年同月比約11.5%ダウン)。緊急事態宣言前でこの状況ですので、緊急事態宣言後、4月の指数はより厳しいものが想定されています。
そのような市況の中で、現在お問い合わせで一番多いのが、「売らなければいけないのに、なかなか売れていない」方からのお問い合わせです。

なぜ、なかなか売れないのか?

 前述のコロナウイルスの影響は勿論ありますが、それ以外にも下記のような理由が考えられています。

  ①コロナウイルスの影響で買う動きを控えている(部屋を見たりしない)
  ②不動産価格が高騰しすぎて買うこと自体を諦めている
  (売る側と買い側の価格乖離)

  ③休みやリモートワークで不動産会社の動きも少なくなっている
  (買い手を案内できない)

  ④一部の金融機関で新規融資がストップしている(投資用ローン)
  ⑤一部の金融機関で審査が厳しくなっているとの話しもあり
  (去年の金融機関の不祥事や現在の市況の影響など)

他にもありますが、要因は、今回のコロナウイルスだけではないと感じています。個人的には、特に②部分、この部分はコロナの前から生じてきており、既に、立地や物件によっては「売れない状況」になっていたと思います。

不動産価格の高騰(売る側と買う側の価格乖離?)

 近年の不動産価格の高騰で、売る側と買い側に心理的な違いが生まれてきています。それは、

 ◆売る側・・・まだまだ高く売れるはず
 ◆買う側・・・もう高すぎて買えない(こんなに高いものを買う必要あるのか)

という違いです。私も長く不動産業界におり、今まで500件以上の取引を行ってきましたが、私の想像を遥かに超える高値での売り出し価格になっており、さすがに「高いな」と正直思っています。
でも、実はこの「高い売り出し価格」を提案しているのは何を隠そう不動産会社であり(当社はマーケットに対して正直な話しをしています)、他社に査定段階で負けない為だけに価格を相場以上に上げている、こういう現実もあります。「不動産会社がこの価格で売れるって言ったのに・・・」という気持ちの方も多いと思います。
立地や物件、競合関係にもよりますが、いまは既に「売り出し価格」ではなかなか売れない、「売り出し価格」と「成約価格」は違う、という状況になっていますので、この状況から一早く脱却しなければいけません。

この市況下でどうやって売り抜けるか

 ポイントは3つあると思います。

 ①売れる価格で売り出すこと(売却中の方は売れる価格にすること)
 ②物件の広告量を増やして、多くの買い手の目に触れるようにすること
 (引き続き物件を探している買い手は多いです)
 ③大手・地場・フランチャイズ系などの不動産会社の協力も仰ぐこと
 (囲い込みに繋がりやすい両手取引をやっている場合ではないです)

この方法が一番早く、まさに「売り抜ける」ことができる方法です。
マンションであれば、他の部屋の価格より低く売り出すことに抵抗がある方が殆どだと思いますが、恐らく、その価格でも相場よりは高いと思います(勿論全部ではないです)。
なかなか売れない→価格を下げる この波に飲み込まれてしまいますと、それこそ売却は難しくなってきますので、一早く「現在の市況における適正価格で一気に」売ることを目指していただきたいと思います。