住み替えや相続財産の処分など不動産を売却する時に、どのようにすれば少しでも高く売れるかを悩まれた方は多いのではないでしょうか。
当然ながら、高く売りたいという思いだけでは高く売ることはできません。

不動産を高く売る方法を知っているといないとでは売却価格に差が生じる可能性があります。
そうであれば、どうすれば高く売れるかを知らない、どこに聞けば良いかも分からない、という状況のままでは勿体ない話だと思いませんか。

高く売りたいということは高く買いたい人がいるということです。どのような条件なら人は高く買うだろうか、と想像することが大切です。
つまり買いたい人の目線や立場に立つことです。本コラムでは、あなたも簡単に実践できる不動産を高く売る三つのポイントをご紹介します。

ポイントその1 買いたい人の邪魔をしないこと

9日間は任せた仲介業者だけが秘密裏に動く
売却を依頼した仲介業者が買いたい人の邪魔をすることがあります。例えば、スーモを見た人が仲介業者へ連絡します。次にその業者が売主側の仲介業者へ照会すると、「レインズ(※)に載せるまでは自社で買主を探すので掲載してから連絡下さい。」と言われることがあります。

その連絡した買いたい人が、高く購入していた可能性もあります。そう考えれば、このような行為は買いたい人の邪魔をしているだけで何ら売主の利益になりません。

なぜ、仲介業者はこのような行為をするのでしょうか。媒介契約のなかの専任媒介契約は、契約日から7日間(休業日を含めると9日間)はレインズに掲載する必要がありません。その間は内見を断り、仲介業者は自ら買主を探すことができます。そこで買主を見つければ買主からも仲介手数料が貰えるからです。

任せた仲介業者以外もネット掲載はできる
スーモと提携している仲介業者は、アットホームやホームズと提携している他社へ依頼して、スーム以外のサイトにも物件を掲載することができます。

例えば、売却希望価格5980万円に対し、購入希望価格5900万円で買いたい人を売主側の仲介業者が探してきたとします。確かに5900万円という金額は悪くない話かもしれません。しかし、アットホームにも掲載できれば、5980万円で買いたい人を探すことができたかもしれません。物件を広くマーケットに出さないことは機会損失になります。

ネットが主流だがそれ以外のルートもある
今はネットが集客の主流ですが、ネット以外のルートで買いたい人を探してくることもあります。例えば、銀行系の仲介業者であれば、つきあいのある法人や資産家の顧客とネットワークがあります。このような顧客は必ずしもネットを見ているわけではありません。

他の仲介業者と連携して販売網を広げていける仲介業者であれば、買いたい人の邪魔をすることなく、紹介や内見の機会を増やすことが可能です。

一般媒介契約をお勧めしない理由
それでは一般媒介契約では機会損失はなくなるのでしょうか。確かに一般媒介契約は数社に依頼できるため、囲い込みを防ぐことができるというメリットはあります。しかし、次の理由からお勧めはしません。

一つ目の理由は、仲介業者のやる気が落ちることです。販売活動には時間と費用を伴います。しかし、自社で成約できるか分からなければ、販売活動を制限することも考えられます。その結果、不必要な値下げや安値の申込にも応じ、成約第一になりがちです。

二つ目の理由は、複数の仲介業者が媒介することで情報が錯綜しやすくなります。その結果、各社から提示される査定価格や販売方法などについて、売主にとってどの情報が正しいかの判断が難しくなります。

囲い込みをしない仲介業者を見つける簡単な方法
以上をまとめると、物件を囲い込まないで適切な情報を提供できる一社に専任媒介を任せるのが望ましいと言えます。どうすれば、そのような仲介業者を選ぶことができるのでしょうか。

さほど難しい話ではなく、次の内容をチェックしてみて下さい。
〇会社のHPに、両手取引(売主と買主の媒介)はしないことをオープンにしているか。
〇自社で買主を見つけることができると謳っていないか。このような仲介業者は両手取引をする可能性があります。
〇スーモ、ホームズなど自社以外のホームページにも物件を掲載しているか。
〇買主側の仲介業者が買いたい人を内見に連れてきているか。

なお、相応しくない仲介業者と思えば、専任媒介契約だと三カ月経過すれば契約解除できます。

ポイントその2 買いたい人を諦めさせないこと

販売して直ぐの時期が売るチャンス
販売開始から直ぐは、物件に新鮮味があり成約しやすい時期でもあります。但し、それには売出価格が高すぎて買いたい人を諦めさせないことが重要です。なぜなら、価格が高すぎると買いたい人の気持ちに刺さらず内見もされません。むしろ、割高な回し物件という引き立て役にされ成約に繋がりにくくなります。

スーモやホームズなどの主要なポータルサイトの価格の検索条件は、500万円刻みになっています。例えば、近隣相場が5000万円のエリアで売出価格を5580万円にすると、5500~6000万円のレンジにある高額物件と競合することになります。そうなると競合に比べ駅距離、築年数、住環境などの面で見劣りする物件は苦戦を強いられます。

適切な相場を知る簡単な方法
売出価格が高すぎて内見や問合せが少なければ、売主もつい弱気になり、相場より低い価格で妥協しかねません。反対に、内見者が多ければ買いたい人の競争心を煽ることもできます。それには適正な相場を知る必要があります。

サービス内容の差別化は難しいため、仲介業者は媒介契約を取るために査定金額を吊り上げる傾向があります。そこで、「私は査定金額では業者を選ばない。売れる金額を査定して欲しい。」と仲介業者へ伝え、各社の査定価格と根拠を比べ判断することをお勧めします。

ポイントその3 買いたい人を不安にさせないこと

買いたい人の不安を軽減
中古住宅を購入する不安の一つに、建物の傾き、雨漏り、設備機器の故障などの建物の不具合があります。それは同時に契約解除や損害賠償といった売主のリスクでもあります。

このような不安を軽減するには、売主と利害関係のない第三者が建物調査をして、建物の状態を把握することです。不具合があれば修繕費用を売買価格から控除する、あるいは軽微であれば現状のまま引き渡すという対応も取れます。

建物調査の必要性を判断
建物に不安を感じるため、買いたい人から建物調査の要望があれば、より高く売るためにも積極的に対応する方が良いでしょう。一方で、建蔽率や容積率等に法令違反があるため住宅ローンの承認が難しく、そもそも売却が難しい中古住宅など、調査の必要性が低いケースもあります。建物の調査の必要性と理由について、仲介会社へ確認することをお勧めします。

まとめ

最後に不動産を高く売るための三つのポイントをまとめます。
① 買いたい人の邪魔をしない
両手取引で物件の囲い込みをせず、ネット以外にも他社と連携して販売活動ができる仲介業者を選べば、買いたい人との接点が増えて高く売れる可能性があります。

② 買いたい人を諦めさせない
売出価格が相場より高すぎれば、本当に買いたい人へ情報が届きません。高い査定価格ではなく、売れる査定価格を提示する仲介業者を選ぶことをお勧めします。

③ 買いたい人を不安にさせない
中古住宅には建物の不具合というリスクを伴います。不具合の有無や内容を建物調査によって明らかにすれば、買いたい人の不安は軽減されます。

是非、以上のポイントを参考にして下さい。

なお、らくだ不動産では売却時に次のようなご提案できます。
① 片手仲介(売主の仲介)しかしません。
② 最初に相場相当の査定額を提示します。
③ ホームインスペクションを行うさくら事務所のグループ会社であり、建物調査を含めご相談ができます。

ご相談や査定は無料で行なっています。現在の仲介業者以外にもう一社相談したい場合もお気軽にご連絡を下さい。また、メルマガで不動産市場の最新情報を発信しており、こちらもお気軽にお申込み下さい。

(※)レインズとは、宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣の指定を受けた「指定流通機構」である全国で4つの公益社団法人や公益財団法人によって運営されている団体です。ここには全国の不動産業者が加入し、ネットワークで結ばれています。