3,000件を超える不動産のご相談を承ってきた、らくだ不動産エージェント村田が解説します!
不動産を売却する場合、あなたは不動産会社をどのように選んでいますか。騙されないかとか、言いくるめられないかといった不安から、不動産会社に行くことや営業の方(以下、担当者)への問い合わせを躊躇していませんか。
本コラムでは、不動産会社を選ぶ際の注意点について、問い合わせする会社の数、担当者の見極め方、囲い込みの避け方といった観点から皆さまの悩みにお答えします。これからは消費者も学びが必要で、それが可能な時代です。本コラムを参考に情報武装をすれば、安心した不動産会社選びが期待できます。
目次
不動産会社の種類
不動産取引を仲介する不動産会社には、どのような種類があるのでしょうか。そこには明確な基準はないものの、大手の会社、フランチャイズ系の会社、地元密着の会社に大きく分類でき、それぞれ次のような特徴があります。
大手不動産会社
三井のリハウス、東急リバブル、住友不動産販売、野村不動産ソリューションズなど、その多くが主要駅の近くに立地し、知名度が高く取引実績も多い不動産会社です。社員教育や組織体制は比較的整備され、売買契約書等の書式や手続きは統一されるなど業務の標準化が進んでいます。
フランチャイズ系の会社
センチュリー21・ジャパン、HOUSE-DO、LIXIL不動産ショップなどのようにフランチャイズ形式で店舗展開し、CMや街中などで見聞きすることが多く、知名度は高い会社です。異業種から新規事業として不動産業を始めるときに利用するケースもあります。人材育成や広告戦略などは、フランチャイズ各社によって異なります。
地元密着の会社
比較的長く不動産業を営んでいる会社が多く、地主などと人脈を築き、大手不動産会社では知り得ないような地元事情に精通していることがあります。また、小規模な会社が多く、担当者と社長の距離が近いため、意思決定が早く組織としての機動力は高いと言えます。
他にもこれらに分類されない不動産会社があります。例えば、片手取引(※)を中心に、地域を限定せずに事業展開する㈱らくだ不動産はその一例です。
(※)不動産取引において、不動産会社が売主と買主のどちらか一方だけを担当し、味方すること。逆に売主・買主両方の担当をすることを両手取引といいます。
何社に問い合わせればいいの?
大手、フランチャイズ系、地元密着の会社等には、それぞれ一長一短があり、優劣はつけ難いものです。不動産会社を選ぶ際に、店舗の立地やネットなどの口コミ情報、免許の更新回数などを参考にすることがあります。一方で、どのくらいの不動産会社に声を掛ければ良いか、という悩みはありませんか。
結論から言えば、複数の会社に問い合わせることをお勧めします。どの不動産会社も紹介できる物件はレインズの登録物件が中心で、大きな違いはありません。そのため担当者との相性が大切になってきます。
不動産会社や店舗の変更も必要
不動産会社の中には、「今が価格のピークです。これからは下落するので今が売り時です。」などといきなり売却を勧めるとか、担当者が転勤で店舗を変わると同時に依頼物件を囲い込むようなこともあります。特に大手不動産会社は、店長によって対応が変わることが少なくありません。これは担当者よりも店舗の問題です。
当初はうまい話ばかりしていた担当者が、思うように売却が進まないため、売出し価格の値下げや業者による買取りを提案してくることがあります。その時は理由を聞き、それが納得できなければ不動産会社や店舗の変更をした方が良いでしょう。
このように売主本位の不動産会社ばかりではありません。相性が合う担当者に出会うには、一社だけでなく複数の不動産会社へ声を掛けることをお勧めします。
担当者はどうやって見極めればいいの?
不動産会社に問い合わせるなかで、どのように担当者との相性を見極めれば良いのでしょうか。
特に、戸建住宅の売却は、マンションより営業経験が求められますが、取扱件数が多い担当者だから戸建住宅に詳しいとは限りません。取扱件数よりも取り扱った物件の中身が大切です。
スキルと相性
例えば、売却が困難な物件(接道条件が悪いとか)や売却理由(転勤や離婚など)のバリエーションをどのくらい経験したか、物件の所在する地域以外でも売却経験があるかなどを確認して下さい。また、通常は成約までに2か月から6か月程度を要しますが、これまでどのくらいの期間で成約してきたかを尋ねてください。
最低限の営業スキルや実務経験は当然として、それ以上にしっかりと相談できそうな人物かどうかが大切です。自分の思いを素直に話せる、安心して頼めそうだ、個人的な事情も打ち明けることができる、といった点に着目して下さい。
ホームページやソーシャルメディアなどから担当者の人となりを見るのも参考になります。これはと思う担当者がいれば、ダメ元でリクエストするのも手です。
囲い込み対策として一般媒介契約は有効?
囲い込みとは、自社で両手仲介をするために、売却依頼を受けた物件の情報を市場に公開しないことです。これは依頼者の利益に沿うものとは言えません。
囲い込みを防ぐには、複数の不動産会社と一般媒介契約をするのが有効との意見がありますが、それは必ずしも正しくありません。なぜなら、宅地建物取引業法上、一般媒介契約にはレインズへの登録や売主へ状況を報告する義務はないため、囲い込みをしない保証はありません。
例えれば専任媒介契約は囲い込みの道が1本なのに対して、10社との一般媒介契約は各社がそれぞれ囲い込みをすれば、その道が10本できるという違いに過ぎません。
レインズに物件登録すれば全ての不動産会社に情報が共有され、買主を幅広く探すことが可能になります。ですから、どの不動産会社に物件情報が多いか、という発想は正確ではありません。媒介契約の類型よりも囲い込みをしない不動産会社かどうかの方が重要です。レインズに登録しても他社への紹介をしない場合は情報は広がりません。
手数料無料に潜むリスク
手数料無料は売主からすれば魅力的です。しかし、不動産会社はどこからか報酬を貰わなければ経営は成り立ちません。不動産取引では、売主の手数料が無料だと買主からの手数料が必要になります。これが囲い込みへと繋がっていきます。
例えば、十分な需要が見込まれる人気エリアに立地し、かつ適正な価格で売却できれば囲い込みされても問題ないという声を聞くことがあります。しかし、囲い込み問題の本質は、購入希望者が限られ成約価格が低くなるリスクを含め、買主の手数料に頼る不動産会社が、依頼者である売主の利益を優先できるか、という点です。
手数料無料は結局のところ物件の囲い込みに繋がり、その結果、売主の利益が損なわれるリスクを高めます。これは手数料が定額であっても同様です。
まとめ
売主の立場から不動産会社を選ぶ際の注意点は次の通りです。
・複数の不動産会社に問い合わせ、相性が合う担当者を見極めること。
・担当者は営業経験やスキル以上に、コミュニケーションがしっかりできること。
・手数料無料や定額などを謳い、物件の囲い込みをする不動産会社は避けること。
特に、担当者に求められる資質は以下のようなものです。
・日本や世界の経済や市況がわかる人
・売却の展望を話せる人
・自分と相性が良い人(これが一番)
らくだ不動産は、同社の担当者と相性が合わない場合に担当者を変更することができます。また、らくだ不動産が対応できない地域では、どの不動産会社が相応しいかといったアドバイスや、セカンドオピニオンサービスなども行います。
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